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『ゆみに町ガイドブック 完全版』ePub 西崎憲
¥700
『ゆみに町ガイドブック 完全版』西崎憲 ePub 本書は2011年に河出書房新社から刊行された書き下ろし作品に加筆したものの ePub 版である。 作家である「わたし」はあるとき自分の住む町「ゆみに町」のガイドブックを書くことを夢想する。 しかしその試みは時や空間や意識や想念や夢や記憶の複雑なタペストリーを解釈するようなことだった。 三百六十五冊の本が置いてあるカフェ、孔雀のいる家、雲を愛する男、ディスティニーランドという国、麝香鼠、雑貨屋、武人ジャック、さまざまな者や物が無音のカレイドスコープのように躍りはじめる。 ファンタジーや幻想文学には「未来」はあるのか。あります。ここにあります。 これはゆみに町という小さな町に住む優しい人々の心温まる交流の話ではない。この本では心は温まらない。 またこの本はわたしたちの日々の機微を捉えた、生きることの素晴らしさを説いた本ではないん。生きることの苦しさのほうがむしろ書かれている。 演奏会を想像してほしい。 あなたは街のあるビルの屋上に立っている。 そこから見下ろす歩道にタクトを持って立っている女性が指揮者だ。 けれど独りだけだ。周囲に楽器の奏者は見えない。 おかしいなと思い、あなたは視線を巡らせる。するとだんだん見えてくる。少なくない数の楽器を持った人々が。 あなたのいるビルの屋上から見えるのは、指揮者の通りの三十メートルほど離れたあたり、ハンバーガーショップのテラス席にいるシンバルを持った人物だ。垂直に見おろすと、ホルンを持った若い男の姿が見える。通りの向かい側のビルの四階の窓にいるヴァイオリンを持った人物はコンサートマスターなのかもしれない。 みな指揮者を注視している。 しかし、とあなたは考える。 これほど離れたいては指揮者には音は聴こえない。 演奏者同士も聴こえない。 そして自分にも聴こえない。 その音楽を説明することはできない。聴こえないのだからどんなものかを伝えることは不能だ。 『ゆみに町ガイドブック 完全版』はそのような本です。 ゆみに町へようこそ。 表紙作品制作は、くさのこうや、撮影は草野理恵子。 400字詰め原稿用紙換算約225枚。 ePub形式で〈文化あります〉からのみの販売になります。 購入後、ダウンロードはお早めに。72時間以内です。 ダウンロードした後には、スマートフォンでしたら、 iPhone「ブック」、アンドロイド「Playブックス」などのアプリでお読みください。パソコンであれば Kindle Previewerなどがお薦めです。 【作品抜粋】 ゆみに町はありふれたもので満ちているが、そのありふれたものは時折ひじょうに美しく不思議なものに見える。夕暮れ時はとくに顕著だ。夕方の光というものはなぜあれほど強い力を持っているのだろう。 たとえば運河に沿った南西部の雑然とした区域。わたしは早い夏、行く先を決めないでそこを歩く。 間口の狭い焼鳥屋からは青く美しい煙が流れだし、客たちはみな記号のように体を折ってカウンターにすわり、通りすぎるわたしを見る。わたしもまた通りすぎる無名の記号となって見返す。 中華料理屋のくすんだ半透明のドア。その向こうの薄い赤ともオレンジともつかぬ光のなかで躍る湯気。まだ客はいない。それは記憶のなかの無数の中華料理屋とわかちがたく混じりあう。客がドアを開けて油の染みこんだその床を踏むとき、天上のどこかにある中華料理屋のイデアでは白い腕の娘がカウンターの奥に向かって銀の鈴を振る。冬の狼のように飢えた客たちに豊麗な料理を与えよ、と。 夕暮れの光は海のようにゆみに町を浸す。たしかに海だ。町の喧噪は波の音だ。喧噪の波はさまざまなものにぶつかり、さらに砕けて小さな波になってゆく。わたしたちはその波打ち際に流れ着いた漂流物だ。長いあいだ漂ったすえにそこに流れ着いた名もない寄り物だ。 八百屋の店先などを見るとき、わたしはほぼ性的な快感を覚える。夕方の金色の光のなかですべてのものの輪郭はかすみ、物の内と外はなくなる。物から色と意味があふれだす。オレンジはそれぞれが太陽のようだ。マスカットは小さな惑星で、微かに重力を周囲に張り巡らす。 そして古本屋の開けっ放しの戸口から見えるのは、あれは長い話ばかり書いた大衆作家の全集だ。奥にすわる主人は見た通り偏屈な男で、その脇にある細い通路はいったいどこに通じているのか。昔から古本屋の奥からどこかにいけるような気がするのはなぜだろう。わたしのなかにあるこの感覚はなんだろう。物心がついたときから執拗にわたしのなかにありつづけるこの感覚は。このどこかにいけるような気がする感覚は。けれどどこへ? どこへいけるというのだろう。そしてどんなところへ? ここよりもいいところか、ここよりも悪いところか?
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『電子書籍で会いましょう』甲田イルミ
¥1,100
『電子書籍で会いましょう』 コピー&ペーストで本格的な文芸の電子書籍(ePub)が作成できる画期的なガイドブックです。ベースにするのは一太郎で簡単に作れる ePub ファイルで、完成まで特別な知識はいりません。 電子書籍は今後急速にシェアが拡大すると予想されます。そして電子書籍は新しく個性的な小説や短詩型のバディーになる可能性を秘めています。これからやってくる時代は、スマートフォンに偏愛する文芸をインストールして友人のようにともに日々を送る時代です。 電子書籍の作成は難しくありません。Wordやエクセルより易しいかもしれません。本書で新しい世界を開きませんか。 販売は〈文化あります〉からです。楽天での販売は予定しておりますが、アマゾンでは販売いたしません。付録が3ファイルつきますので、実質的に4冊の販売になります。 甲田イルミは作家・翻訳家西崎憲の写真・電子書籍デザイン分野での名前です。 ※購入後は72時間以内にダウンロードしてください。 【詳しい内容】 『電子書籍で会いましょう』 「一太郎」で出力したePubファイルをベースにして、フリーソフトSigilで整形します。必要な記述はすべてコピー&ペーストで行います。XHTMLやCSSなどの知識がなくても、根気さえあれば作れます。 素材画像などもすべて同梱なので、実際に作ってみて覚えることができます。 簡易的なものならば最初から数時間で作成できます。 PDF版とePub版での提供になります。 付録1 『電書でGO! 電子スタイルブック』 レイアウトの実際例を多数収録したスタイル集です。テキストのほとんどはフラワーしげるの書き下ろしを使用しています。 ePub版での提供になります。 付録2 『掌篇二作完全版』 『電子書籍で会いましょう』のなかで作成する電子書籍の完全版です。西崎憲の異形コレクションに発表した2作「あなたも一週間で歌がうまくなる」「塔をえらんだ男と橋をえらんだ男と港をえらんだ男」が収録されています。 実際の販売レベルの仕上げを学べます。ePubでの提供になります。 付録3 『れんしゅう帳 翻訳小詩集』 新型コロナ流行の初期に Twitter で西崎憲が発表した〈緊急事態詩集〉をまとめたものです。 四十名以上の詩人の作品が収録されています。パウル・ツェラン、エミリー・ディキンソン、ラングストン・ヒューズ、『閑吟集』、李賀など。ePubでの提供です。
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